差圧式流量計の測定原理と特徴を解説します。
この記事を読めば、0から差圧式流量計を理解することができます。
結論
差圧式流量計は、管路にオリフィスを挿入し、オリフィスの前後の圧力差から流量を測定する流量計です。
構造が簡単・低価格、液体・気体・蒸気と適用範囲が広いため、多く用いられています。
欠点として、測定流量範囲が狭い、測定精度がフルスケールの2〜3%と低い、導圧管が詰まりやすい、圧損が大きいなどが挙げられます。
差圧式流量計の測定原理
差圧式流量計の測定原理と設備の基本構成を解説します。
図に示すように管の途中で流れが絞られると、上流と下流で圧力の差が生じます。
圧力は上流側が高く、下流側が低くなります。
上流側と下流側の圧力差の程度は、流体の密度と流速に関係するので、圧力差を測れば流量がわかるということです。
差圧と流量の関係は、ベルヌーイの定理(1)と連続の式(2)から理論的に求めることができます。
$$P_1+\frac{1}{2}ρ{v_1}^2+ρgz_1=P_2+\frac{1}{2}ρ{v_2}^2+ρgz_2・・・(1)$$
$$ρv_1A_1=ρv_2A_2・・・(2)$$
$P:圧力[Pa abs]$
$ρ:流体密度[kg/m^3]$
$v:平均流速[m/s]$
$g:重力加速度[m/s^2]$
$z:高さ[m]$
$A:断面積[m^2]$
この2式から、体積流量は以下のようになります。
$$Q=v_2A_2=A_2\frac{1}{\sqrt{1-(A_2A_1)^2}}\sqrt{\frac{2}{ρ}(P_1-P_2)}$$
気体は圧力や温度によって密度が大きく変化します。
使用条件が設計条件と異なる場合は、温度・圧力補正を行う必要があります。
温度圧力補正演算は理想気体であれば、ボイル・シャルルの法則を用いて行うことができます。
差圧式流量計の基本構成は以下のようになります。
オリフィスの前後の圧力を導圧管で差圧伝送器に導きます。
差圧伝送器から伝送信号4-20mAもしくは20-100kPaを出力します。
差圧式流量計の特徴
差圧流量計の利点と欠点は以下の通りです。
欠点が多く見えますが、それ以上に安価で汎用性が高いため多く用いられているのが現状です。
差圧式流量計は液体、気体、蒸気、スラリーを測ることができます。
また、口径が15A〜3000Aと小流量から大流量まで測ることができます。
差圧式流量計は構造が簡単で故障が少なく、価格も安価です。
測定できる最小流量と最大流量の比は1:3程度です。
流量の変化が少ないところで使用するのが良いです。
測定精度はフルスケール(F.S.)の2〜5%です。
管内の流速分布の影響を受けるため、長い直間部が必要になります。
これは、渦式、超音波式などにも共通します。
整流部を設ける、絞り機構にオリフィスではなくベンチュリやVコーンを設けることで直管部を短くすることができます。
オリフィス等で流れを絞るため圧力損失が大きいです。
これはレンジを低めに設定することである程度解消できます。
配管圧力損失の計算方法は以下の記事で解説しています。
配管圧力損失の求め方と計算例導圧管が詰まったり、曲がったりすると正しく測定できなくなります。
価格は上がりますが、ダイヤフラムを用いることでこの問題は解消できます。
最後に
差圧式流量計について理解することはできましたか?
今後も様々な流量計を解説していきます。
構造、仕組みを理解して適切な流量計を選定しましょう。